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山の神

本日はご注文いただいていたガラスケースの納品でした。

中に入れるモノはU様のお家で「山の神」といわれて大切にされているものです。

ここで言う山の神とは、大正4年以前から続く長野県御代田町塩野地区の風習で
毎年1月17日に近所の親戚が集まって庭先に7メートルもある柱を立て
その柱の周りを縄で結ったもので飾りたてて山の神様に感謝するお祭りだそうです。

その昔、農家の方々は畑仕事の無い時期に国の要請で山に入り
森の手入れをして収入を得ていました。
祭りは、その山仕事での安全祈願としてはじめられたそうです。
当時は自分の住む地域の山を愛し、豊かな山があってこその農業という意識をみんなが強くもっていましたが、
時代が変わり山に手を入れる仕事も無くなり
過疎化が急速に進んで若い衆が村から離れていき
山の恵みを意識することが自然と薄れはじめ、ついに平成8年にこの祭りもなくなってしまいました。
それ以後、このような風習があったという事を忘れないでほしいという想いから
お爺様が山の神のミニチュアを作って床の間に飾っていたそうです。
そんな大切なモノならばガラスケースにいれて保管しようと家族会議で決まり
私に作らせていただくことになった訳ですが、
このようなエピソードがあるなんて今日お爺様に話していただくまで知りませんでした。

山の恵みで仕事をしている者として、このような熱い想いが詰まった神様のケースを作らせていただけた事に胸が熱くなり、また自然の事を考えさせられる納品となりました。

私のような駆け出しの者に大切なガラスケースをご注文してくださった事に心から感謝します。
U様ありがとうございました。

山の神_a0156039_221234100.jpg






















ガラスケースの中の山の神を見つめるお爺様
by kozan-japan | 2010-11-23 22:29 | 木工
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